無料のVPNで足りるか、使ってよいかは、提供元が閲覧の記録をどう扱うと書いているかと、自分の使い方で決まります。
この記事では、個人がスマートフォンやパソコンで使える、次の15の無料版を比べています。
- アプリなどで使う無料版(12):Proton VPN、hide.me、Turbo VPN、VPN - Super Unlimited Proxy(Android版)、Windscribe、Urban VPN、VPN Gate(筑波大学のVPN)、X-VPN、PrivadoVPN、Hola、Touch VPN、1.1.1.1 + WARP(Cloudflare)
- ブラウザに付いた無料のVPN(3):Opera 無料VPN、Microsoft Edge セキュア ネットワーク、Firefox の内蔵 VPN
使い方ごとの候補は、次のとおりです。
- スマートフォンかパソコンの1台で使う:Proton VPN。迷ったらこれです。通信量は上限なし、広告はなしです(1台で使う)。
- スマートフォンとパソコンを同時につなぐ:Windscribe。台数は上限なし(本人の端末)ですが、1か月の通信量に上限があります(同時につなぐ)。
- ブラウザで見るサイトの通信だけ守れればよい:Opera 無料VPN。Opera のブラウザに付いたVPNで、ほかのアプリの通信は通りません(ブラウザだけ)。
無料のVPNには、公的機関も注意を呼びかけています。大阪府警察は「信頼できないVPNサービスを利用すると、サービス提供者に通信を盗聴される危険性がある」としています(大阪府警察)。VPNを通した通信は、提供元のサーバーを通るためです。総務省・警察庁・NICT も、無料のVPNなどを使ううちに、本人が気づかないまま端末が他人の通信の中継に使われる事例を挙げています(アプリを入れる前に)。
提供元自身が、閲覧のデータを分析に使う(Urban VPN)、拡張機能では閲覧の履歴がログに含まれる場合がある(Hola)などと書いている無料版もあります。「筑波大学のVPN」として探される VPN Gate も、無料で登録も要りませんが、見に行ったサイトのホスト名を含む接続のログを最低3か月保管し、正当な理由のある捜査機関などの求めに応じて開示するとしています(VPN Gate の節)。フリーWi-Fiでの盗み見の対策など、プライバシーを守るために使うなら、閲覧を記録しないと書いている無料版から選ぶほうが目的に合います。上の3つは、どれもそう書いています(記録の扱い)。
アプリは、ストアで名前を探すより、公式サイトのダウンロードのリンクから入れると確実です。名前の似たアプリがあるためです(アプリを入れる前に)。使い方に合う無料版が無ければ、手元のセキュリティソフトのVPNや、有料のサービスという手もあります(無料で足りないとき)。
15の無料版の条件は比較表に、この記事に無いVPNのことはこの記事に無いときにまとめました。
先に見ること:提供元が、閲覧の記録をどう扱うと書いているか
VPNを通した通信は、VPNの提供元のサーバーを通ります(VPN Gate では、ボランティアが運営する中継サーバー)。そのため、使って大丈夫かを考える材料になるのは、提供元自身の説明です。プライバシーポリシーで見ておきたいのは、次の3つです。
- 閲覧の記録:VPNを通して見たサイトや、通信の内容を記録しないと書いているか
- ほかの記録:接続の時刻、接続元のIPアドレス、通信量の合計、端末の情報など、何を記録・処理すると書いているか
- 渡す先:誰に渡すと書いているか(広告や分析の会社、関連会社、法律にもとづく求めなど)
この記事の15の無料版では、閲覧の扱いの書き方が次のように分かれます。
| 提供元の説明 | 無料版 |
|---|---|
| VPNを通した閲覧(訪問したサイトや通信の内容など)を記録しない | 無料版 Proton VPN、hide.me、Windscribe、X-VPN、PrivadoVPN、VPN - Super Unlimited Proxy(Android版)、Opera 無料VPN、Firefox の内蔵 VPN |
| 閲覧や検索のデータを、個人を識別する情報を除いてから集め、匿名にして集計し、市場の分析などにも使う。それとは別に、加工する前の個人情報を、親会社や関連会社に売る・渡す場合の条項もある | 無料版 Urban VPN |
| 接続のログ(接続元のIPアドレス、通信先のサイトのホスト名など)を最低3か月保管し、正当な理由のある捜査機関などの求めに応じて開示する | 無料版 VPN Gate |
| 拡張機能では、閲覧の履歴がログに含まれる場合がある。無料版の一部(Windows など)では、利用者の端末を提携先のネットワークの中継に使う場合がある | 無料版 Hola |
| 扱うデータの説明が、上のどれにも当てはまらない(サービスごとの節に) | 無料版 Turbo VPN、Touch VPN、1.1.1.1 + WARP(Cloudflare)、Microsoft Edge セキュア ネットワーク |
プライバシーを重く見るなら、表のいちばん上の行の無料版から選ぶと目的に合います。ただ、その無料版も、通信量の合計や接続の時刻、端末の情報など、ほかに扱うデータを書いています。「ノーログ」(記録を残さない、という意味で使われる言葉)の一語では何を扱うかまでは分からないので、ポリシーの中身まで見ておくと確実です。
第三者の監査を受けたと公表している無料版もあります(Proton VPN・hide.me・Windscribe・X-VPN・Opera 無料VPN)。監査は提供元が依頼して受けたもので、確かめられたのは公表された範囲と時点のことです。監査をした会社と時期は、比較表の「第三者の監査の公表」の行にあります。
使い方で選ぶ:1台か、同時に2台以上か、ブラウザだけか
無料版は、同時に使える台数・使えるOS・通信量の上限が提供元ごとに違います。同時に使える台数は、同じ時間にVPNにつなげる端末の数です。外出先ではスマートフォンだけでVPNを使う、という使い方なら、1台までの無料版でも足ります。
つながりやすさや速さは、回線・場所・時間で変わります。無料版は料金がかからないので、自分の端末と回線でつないでみてから、使い続けるかを決められます。
スマートフォンかパソコンの1台で使う:迷ったら Proton VPN
Proton VPN の無料版は、Windows・macOS・Linux・iOS・Androidで使え、通信量は上限なし、広告はなしです。使い始めるには、アカウントの登録(支払いのカードは不要)が要ります。通信量も広告も気にしなくてよいので、1台で使うなら、迷ったらこれです。公式サイトへのボタンは、Proton VPN の節の最後にあります。
同時に使えるのは1台で、接続先は自動で割り当て(10か国から無作為に選ばれる。2026年10月に確認)なので、自分では選べません。スマートフォンとパソコンを同時につなぐなら、Windscribe が候補です。
アカウントを作りたくないなら、hide.me があります。使い始めるときは登録不要で、広告はなし、同時に使えるのは1台です。ただ、通信量は上限なし/10GB(10GBの記載は1か月あたり)(公式の資料で値に食い違いあり)で、上限があるかが公式の中ではっきりしません(hide.me の節)。上限の有無がはっきりしているほうがよいなら、Proton VPN が合います。
登録の要らない無料版には VPN Gate もありますが、見に行ったサイトのホスト名を含む接続の記録を残すとしています(VPN Gate の節)。その記録を避けたいなら、hide.me が先です。hide.me も、一時的な接続の記録と、1か月の通信量の合計は扱うとしています。
同時に1台までの無料版には、ほかに Turbo VPN と VPN - Super Unlimited Proxy(Android版)もあります。どちらもアプリに広告が出るので、広告を避けたいなら Proton VPN か hide.me が合います。
スマートフォンとパソコンを同時につなぐ:Windscribe
Windscribe の無料版は、同時に使える台数が上限なし(本人の端末)で、Windows・macOS・Linux・iOS・Androidで使えます。通信量は2GB/10GB(1か月あたり。メールの登録なしで2GB、メールの確認で10GB。ほかに条件つきの追加の枠あり)で、使い始めるにはアカウントの登録(メールは任意。10GBの枠はメールの確認と販促メールの許諾)が要ります。公式サイトへのボタンは、Windscribe の節の最後にあります。
分かれ目は、1か月の通信量がこの枠に収まるかです。VPNを使うのを、外出先のWi-Fiにつないでいるときに絞れば、上限の中に収めやすくなります。それでも収まらないなら、Windscribe の無料版では足りません(無料で足りないとき)。
Windows のパソコンと Android を同時に使うなら、Urban VPN も台数は上限なしです。無料版を使える環境はWindows・Android(無料のアプリ。macOS・iOS は有料)、通信量はWindows・拡張機能は上限なし/Androidは100MB(Androidは1日あたり)(公式の資料で値に食い違いあり)です。ただ、閲覧のデータを分析に使うと書いている無料版なので(記録の扱い)、その扱いに納得できる人向けの候補です。
X-VPN と PrivadoVPN にも、複数の端末で使えると書いたページがありますが、同時に使える台数の説明が公式の中で食い違っています。VPN Gate・Hola・Touch VPN・1.1.1.1 + WARP も、同時に使える台数が公式の案内からははっきりしません。同時に使うなら、台数がはっきりしている Windscribe のほうが確実です。
ブラウザで見るサイトの通信だけ守れればよい:Opera 無料VPN
VPNのアプリや端末の設定で使うVPNは、スマートフォンやパソコンの通信(VPNに通すと設定した通信)をまとめて、提供元のサーバーまで暗号化します。ブラウザに付いた無料のVPNが暗号化するのは、そのブラウザの中の通信だけで、メールやSNSのアプリの通信は通りません。
Opera 無料VPN は、Opera のブラウザに付いた無料のVPNです。使い始めるときは登録不要で、通信量は上限なし、Windows・macOS・Linux・iOS・Android(Opera のブラウザを使えるOS)で使えます。登録も通信量も気にしなくてよいので、ブラウザだけでよいなら、まずこれが候補です。公式サイトへのボタンは、Opera 無料VPN の節の最後にあります。
ふだん Edge を使っていて、通信量が5GB(1か月あたり。個人の Microsoft アカウント)で足りるなら、Microsoft Edge セキュア ネットワークもあります。Firefox を使っているなら Firefox の内蔵 VPN もありますが、まだ表示されないことがあり、そのときの確かめ方を Mozilla が案内しています(Firefox の内蔵 VPN の節)。
ブラウザの外のアプリの通信も守りたいなら、1台で使うか同時につなぐの候補が合います。
アプリを入れる前に:運営元とアプリの販売元を見る
総務省・警察庁・情報通信研究機構(NICT)は、2026年7月21日の共同の資料で、無料のVPNや出所の分からないアプリなどを使ううちに、本人が気づかないまま端末が他人の通信の中継(資料の言葉では「レジデンシャルプロキシ」)に使われる事例を挙げ、提供元が分からないアプリや無料のVPNを安易に使わないよう呼びかけています。中継に使われるとは、他人の通信が、自分の端末と回線を通って外へ出ることです。
この記事の無料版でも、それ以外のアプリでも、入れる前に次の3つを見ておくと、目当てのアプリかを確かめられます。
- 運営元:公式サイトのプライバシーポリシーや利用規約、会社の情報や運営者のページなどに、運営する会社の名前と所在地が書かれています。
- 入れ方:公式サイトのダウンロードのリンクから App Store や Google Play のページへ進むと、名前の似たアプリと取り違えずに済みます。この記事の無料版の公式サイトは、サービスごとの節の、それぞれの最後のボタンから開けます。
- アプリの販売元:ストアのページに出るアプリの名前と販売元(App Store では「販売元」、Google Play では「デベロッパー」)、ストアに載っている公式サイトのリンクが、入れたいサービスのものか。
販売元の名前が公式サイトの運営元と違っても、関連会社のことがあります。例えば PrivadoVPN は、プライバシーポリシーでデータを管理する会社と、App Store の販売元の会社が違いますが、ポリシーは販売元の会社を関連会社として説明しています。名前の違いだけでは偽物とは言えないので、分からなければ公式サイトの問い合わせ先に聞いてみてください。
無料版の条件をまとめて見比べる:台数とブラウザの中だけかで分けた4つの表
値は提供元の公式の記載で、2026年10月に確かめたものです。通信量の期間(1か月・1日など)や「広告なし」の範囲は提供元ごとに違うので、括弧の中の条件まで見てください。「非公表」は確かめた公式のページに書かれていなかった値、「不明」は確かめられなかった値です。
同時に使えるのが1台の無料版
| 項目 | Proton VPN | hide.me | Turbo VPN | VPN - Super Unlimited Proxy |
|---|---|---|---|---|
| 無料版で同時に使える台数 | 1台 | 1台 | 1台 | 1台 |
| 無料版の通信量 | 上限なし | 上限なし/10GB(10GBの記載は1か月あたり)(公式の資料で値に食い違いあり) | 不明 | 上限なし |
| 無料版の広告 | なし | なし | あり(表示される場合がある) | あり |
| 無料版を使い始める条件 | アカウントの登録(支払いのカードは不要) | 登録不要 | 登録不要 | 原則、登録不要 |
| 対応環境 | Windows・macOS・Linux・iOS・Android | Windows・macOS・Linux・iOS・Android | Windows・macOS・iOS・Android | Android(iPhone 版は対象外) |
| 運営元 | スイスの Proton AG | マレーシアの eVenture Limited | シンガポールの Innovative Connecting Pte. Limited | 米国の VPN Super Inc.(Android 版の提供元) |
| 第三者の監査の公表 | Securitum(2026年6月に公表。VPNのサーバーの基盤・設定・運用が、ノーログの方針どおりかを監査) | Securitum(2024年7月に公表。2024年3月15日時点のサーバーの構成などが対象) | 不明 | 不明 |
※は、公式の資料どうしで値が食い違っている値です。購入・申し込みの前に公式サイトでご確認ください。
どれも、スマートフォンとパソコンを同時につなぐ使い方には向きません。違いが出るのは、通信量・広告・登録です。
台数の上限なしと書いている無料版
| 項目 | Windscribe | Urban VPN |
|---|---|---|
| 無料版で同時に使える台数 | 上限なし(本人の端末) | 上限なし |
| 無料版の通信量 | 2GB/10GB(1か月あたり。メールの登録なしで2GB、メールの確認で10GB。ほかに条件つきの追加の枠あり) | Windows・拡張機能は上限なし/Androidは100MB(Androidは1日あたり)(公式の資料で値に食い違いあり) |
| 無料版の広告 | 広告ネットワークを使わない | 不明 |
| 無料版を使い始める条件 | アカウントの登録(メールは任意。10GBの枠はメールの確認と販促メールの許諾) | 登録不要 |
| 対応環境 | Windows・macOS・Linux・iOS・Android | Windows・Android(無料のアプリ。macOS・iOS は有料) |
| 運営元 | カナダの Windscribe Limited | 米国の Urban Cyber Security Inc. |
| 第三者の監査の公表 | Packetlabs(2024年6月に監査、2025年10月に公表。サーバーの仕組み FreshScribe が対象) | 不明 |
※は、公式の資料どうしで値が食い違っている値です。購入・申し込みの前に公式サイトでご確認ください。
Windscribe は1か月の通信量に上限があり、Urban VPN は無料版を使える環境が限られます。
同時に何台使えるかが、公式の案内からはっきりしない無料版
| 項目 | VPN Gate | X-VPN | PrivadoVPN | Hola | Touch VPN | 1.1.1.1 + WARP |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 無料版で同時に使える台数 | 非公表 | 上限なし/最大6台(公式の資料で値に食い違いあり) | 1台/上限なし(公式の資料で値に食い違いあり) | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
| 無料版の通信量 | 非公表 | 上限なし | 上限なし(速度の制限のない枠は30日ごとに10GB) | 不明(1日の利用時間に制限あり) | 不明 | 不明 |
| 無料版の広告 | 非公表 | パソコン・Chrome はなし/iOS・Android はあり(スマートフォンの広告は任意と説明) | なし(VPNのアプリの中) | なし(Android版) | あり | 不明 |
| 無料版を使い始める条件 | 登録不要 | 登録不要 | メールアドレスの登録と確認 | 不明 | 不明 | 登録不要(氏名・電話番号・メールアドレスは不要) |
| 対応環境 | Windows・macOS・iOS・Android | Windows・macOS・iOS・Android | Windows・macOS・iOS・Android | Windows・Android(無料のアプリ。ブラウザの拡張機能もある) | Windows・macOS・iOS・Android | Windows・macOS・Linux・iOS・Android |
| 運営元 | 日本の筑波大学・ソフトイーサ株式会社(中継サーバーは各ボランティアが運営) | シンガポールの LIGHTNINGLINK NETWORKS PTE. LTD. | アイスランドの Privado Networks ehf | イスラエルの Hola VPN Ltd. | 米国の VPN Proxy Pro, LLC(Pango Group。TouchVPN LLC などの関連会社も提供) | 米国の Cloudflare, Inc. |
| 第三者の監査の公表 | 不明 | シンガポールの四大会計事務所の1社(2026年6月に公表。公開の告知に会社名の記載はない。データの扱いの声明・ITの設定・運用についての保証業務) | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
※は、公式の資料どうしで値が食い違っている値です。購入・申し込みの前に公式サイトでご確認ください。
複数の端末で同時に使うなら、ひとつ上の「台数の上限なし」の表の無料版のほうが確実です。
ブラウザの中の通信だけを通す無料のVPN
| 項目 | Opera 無料VPN | Microsoft Edge セキュア ネットワーク | Firefox の内蔵 VPN |
|---|---|---|---|
| VPNを通る通信 | ブラウザの中の通信(Opera の中の通信) | ブラウザの中の通信(Edge の中の通信。設定のモードとサイトで対象が変わる) | ブラウザの中の通信(Firefox の中の通信。通さないサイトがある) |
| 無料版の通信量 | 上限なし | 5GB(1か月あたり。個人の Microsoft アカウント) | 50GB(1か月あたり。毎月の初めに戻る) |
| 無料版を使い始める条件 | 登録不要 | 個人の Microsoft アカウントでサインイン(管理された端末と一部の地域では使えない) | Mozilla アカウントでログイン(Firefox 149以降で、日本を含む地域へ順に提供中。リモート改善の有効化が必要で、管理設定などにより表示されない場合がある) |
| 無料版の広告 | なし(無料のVPNの通信の中) | 不明 | 通信に広告を入れない |
| 無料版で同時に使える台数 | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
| 対応環境 | Windows・macOS・Linux・iOS・Android(Opera のブラウザを使えるOS) | 不明 | 不明 |
| 運営元 | ノルウェーの Opera Norway AS | 米国の Microsoft Corporation(VPNの接続は Cloudflare が提供) | 米国の Mozilla Corporation |
| 第三者の監査の公表 | Deloitte(2024年9月に公表。2024年8月10日時点の、無料のブラウザのVPNの基盤・設定・運用) | 不明 | 不明 |
サービスごとの無料版:記録の扱い・例外・見送る条件
表だけでは分からないこと(記録の扱い、公式の説明の食い違い、例外)と、向かない人を、比較表の順にまとめました。各サービスの最後のボタンから、そのサービスの公式サイトを開けます。
Proton VPN
有料のプランもあるVPNの無料版で、1台で使う人の候補です。
VPNのプライバシーポリシーでは、VPNのセッションのデータや通信の内容を記録しないとしています。ただ、アカウントの情報などは、Proton の各サービスに共通のプライバシーポリシーにも従うとあり、VPNのポリシーだけでは、何も集めないとは読めません。
無料版は1台までなので、スマートフォンとパソコンを同時につなぐ使い方には足りません。
hide.me
登録せずに、1台で使いたい人の候補です。通信量は上限なし/10GB(10GBの記載は1か月あたり)(公式の資料で値に食い違いあり)です。英語のヘルプ(2026年3月の更新)は以前の上限をやめたとしていますが、上限を書いたページも残っています。
プライバシーポリシーでは、訪問したサイトや、本当のIPアドレスと接続先の対応などは保存しないとしています。接続の一時的な記録は数時間で消し、1か月の通信量の合計は扱うともあります。日本語と英語のポリシーで書き方が違うときは英語の版が優先されると、日本語のポリシーにあります。
通信量の上限がはっきりしているほうがよいなら、Proton VPN が合います。同時に2台以上つなぐ使い方には足りません。
Turbo VPN
公式のヘルプでは、ログインせずに使えるとしています。通信量は、無料版のページに「帯域の制限なし」という見出しがある一方、公式のヘルプには、無料版にはデータの制限がある場合があるともあり、説明が分かれています。
プライバシーポリシーでは、接続できたかどうか、接続先の地域、国や回線の会社、OS、端末、通信量などを、匿名にした利用の統計として扱うとしています。
Android 版のアプリには、アプリの安全性の審査(Google が始めた制度の MASA)に再び合格したという公式の告知があります(2025年9月の掲載、2026年7月の更新)。これはアプリの審査で、サーバーでの記録の扱いを監査したものではありません。
アプリに広告が出るので、広告を避けたい人や、通信量の上限をはっきりさせてから使いたい人には向きません。
VPN - Super Unlimited Proxy(Android版)
Android 向けの無料版です。同じ名前の iPhone 版は、規約では別の会社が提供するとされているので、ここで扱うのは Android 版です。
プライバシーポリシーでは、VPNでの閲覧の活動は記録しないとしています。そのうえで、接続のIPアドレス、端末や診断の情報、通信量の合計などを扱い、広告は広告のIDなどで個人に合わせる場合があるとしています。
iPhone で使いたい人、アプリの広告を避けたい人には向きません。
Windscribe
有料のプランもあるVPNの無料版で、スマートフォンとパソコンを同時につなぐ人の候補です。
通信量は、メールアドレスを登録して確認すると増えます。ただ、利用規約では、増えた通信量と引き換えに販促のメールを受け取ることに同意することになっていて、無料版の案内のページの「メールを販促に使わない」という説明と食い違っています。登録したメールアドレスを消すと、基本の枠に戻ります。販促のメールを受け取りたくないなら、メールを登録せず、基本の枠で使う手があります。
公式の無料版の案内には、ほかにも、X への投稿や友人の紹介で、条件つきで毎月の通信量を増やす方法が載っています。
プライバシーポリシーでは、過去の接続の記録や元のIPアドレス、訪問したサイトは保存せず、30日の通信量の合計と最後に使った時刻は保存するとしています。接続しているサーバーのメモリーに置く一時的な情報(ユーザー名・接続の時刻・通信量など)は、接続を切ると消すとしています。
基本の枠でも、メールの確認で増える枠でも1か月の通信量が足りない人には向きません。
Urban VPN
プライバシーポリシーでは、閲覧や検索などのデータ(訪問したURLや検索の結果など)を、端末の上で個人を識別する情報を除いてから送り、匿名にして集計したデータを市場の分析などにも使うとしています。
さらに、加工する前の個人情報を、親会社や関連会社に売ったり渡したりする場合がある、という条項もあります。渡す理由は、親会社や関連会社の側で匿名にして集計するためとされ、親会社はデータを扱う事業者だとしています。
この扱いに納得でき、Windows のパソコンと Android で同時に使いたい人には候補になります(同時につなぐ)。iPhone や Mac で無料で使いたい人と、閲覧のデータがこのように使われることに納得できない人には向きません。
VPN Gate(筑波大学のVPN)
「筑波大学のVPN」として探されることの多い、VPN Gate です。運営は日本の筑波大学・ソフトイーサ株式会社(中継サーバーは各ボランティアが運営)で、筑波大学での研究として、ソフトイーサ株式会社との共同研究で公開されています。公式のよくある質問では、有料のサービスにはならないとしています。
使える環境はWindows・macOS・iOS・Androidで、使い始めるときは登録不要です。接続先は、公開されている中継サーバーの一覧から選ぶ仕組みです。通信量と、同時に使える台数の上限は、公式の案内からは分かりません。
記録については、VPN Gate の「不正利用対策」のページに次の説明があります。
- 中継サーバーへの接続のログを集めて最低3か月保管し、正当な理由のある捜査機関などの求めに応じて開示する。ログには、接続と切断の時刻、接続元のIPアドレス、通信量、通信先のサイトのホスト名(見に行ったサイトのサーバーの名前)などが入る。
- 各中継サーバーも、パケットヘッダのログ(通信の中身ではなく、送り先などが書かれた部分の記録)を最低2週間保管する。
- 集めたログはソフトイーサ株式会社が管理し、各中継サーバーの管理の責任は、それぞれの運営者にある。
通信は、ボランティアが運営する中継サーバーを通ります。見に行ったサイトのホスト名を含む記録が残ることや、中継サーバーの運営者がサーバーごとに違うことに納得できない人には向きません。
X-VPN
同時に使える台数は上限なし/最大6台(公式の資料で値に食い違いあり)で、同じ公式のページの中に2つの説明があります。
プライバシーポリシーでは、接続元と接続先のIPアドレス、訪問したサイト、DNS の問い合わせ(サイトの名前から接続先を調べる問い合わせ)、通信の内容、使ったサーバー、接続の時刻を記録しないとし、匿名にした性能の統計は別に扱うとしています。第三者の監査の報告書は、読むのにアカウントが要ると案内されています。
スマートフォン版は広告を任意としていますが、広告の仕組みのあるアプリを避けたい人には向きません。
PrivadoVPN
有料のプランもあるVPNの無料版です。通信量は上限なし(速度の制限のない枠は30日ごとに10GB)です。同時に使える台数は、ソフトウェアのページと無料版のページで説明が違います。
プライバシーポリシーでは、VPNの中の閲覧の履歴は記録しないとし、通信量のカウンターなどは別に扱うとしています。
複数の端末で同時に使いたいなら、台数の説明がはっきりするまでは、ほかの候補のほうが確実です。
Hola
公式のよくある質問によると、無料版には1日の利用時間の制限があります。
プライバシーポリシーによると、無料版の一部(Windows など)では、無料で使う代わりに、利用者の端末が提携先(Bright Data)のネットワークの中継になる場合があります。よくある質問では、Google Play の Android 版・ブラウザの拡張機能・iPhone 版は、この仕組みに参加しないとしています。
暗号化については、よくある質問によると、自社のデータセンターのサーバーへは暗号化してつなぎますが、拡張機能と Android 版では、一部の通信だけをVPNのトンネル(暗号化した通り道)に通し、残りの通信(多くは HTTPS)には追加の暗号化をしません。拡張機能・Hola Browser・Android 版では、場合によって HTTP の接続に切り替えるとしています。
プライバシーポリシーでは、IPアドレス・OS・ブラウザの種類・アクセスの日時と、拡張機能では閲覧の履歴が、ログに含まれる場合があるとしています。
使う時間に制限があっては困る人、無料の Windows 版などで端末が中継に使われる仕組みに納得できない人、端末の通信をまとめてVPNで暗号化したい人には向きません。
Touch VPN
無料版の通信量・同時に使える台数・使い始める条件が、公式の案内からは分からない無料版です。
VPNについてのプライバシーの通知では、接続の時間、通信量、匿名にした接続先のドメイン(サイトの名前)、端末のハッシュ(端末を見分けるための値)などを扱い、無料版の利用の制限にも使うとしています。
日本の App Store の販売元の名前(TOUCHVPN INC)は、規約の会社名と違います。入れるなら、公式サイトのダウンロードのリンクからストアへ進むと、目当てのアプリかを確かめやすくなります(アプリを入れる前に)。
無料版の条件を確かめてから使いたいなら、条件が公表されているほかの候補のほうが確実です。
1.1.1.1 + WARP(Cloudflare)
「1.1.1.1」のアプリの、WARP という機能です。アプリには、DNS(サイトの名前から接続先を調べる仕組み)だけを使う使い方もあり、VPNとして端末の通信を暗号化するのは WARP のほうです。有料の WARP+ もあります。
接続先は自動で割り当てです。公式のよくある質問によると、WARP を通らない通信もあります。
プライバシーの説明では、集めるのは DNS の問い合わせと、中身を除いた通信のデータに限るとしています。インストールの ID、通信量、平均の速さ、地域ごとの集計なども扱うとしています。
無料版の通信量は不明、同時に使える台数は非公表です。この2つを確かめてから使いたい人には向きません。
Opera 無料VPN
ブラウザ「Opera」に付いた無料のVPNで、Opera のブラウザの中の通信を通します。Opera のブラウザなら、パソコンでもスマートフォンでも使えます。
プライバシーポリシーでは、無料のVPNで閲覧の履歴や接続元のネットワークのアドレスなどを記録しないとしています。ブラウザ全体では、広告や利用の統計の処理があります。第三者の監査の対象は無料のブラウザのVPNで、有料の VPN Pro は対象ではありません。
ブラウザの外のアプリの通信も守りたい人、Opera を使わない人には向きません。
Microsoft Edge セキュア ネットワーク
Microsoft のブラウザ「Edge」に付いた無料のVPNで、ふだん Edge を使っている人の候補です。運営は米国の Microsoft Corporation(VPNの接続は Cloudflare が提供)です。どの通信を通すかは、設定のモードとサイトによって変わると、公式のヘルプにあります。
公式のヘルプでは、1か月の利用量を管理し、Microsoft アカウントを識別する情報は Cloudflare に渡さないとしています。また、Cloudflare は、診断とサポートのために集めたデータを25時間ごとに消すとしています。
1か月の上限より多く使う人、Edge を使わない人には向きません。
Firefox の内蔵 VPN
ブラウザ「Firefox」に付いた無料のVPNで、Firefox の中の通信を通し、ほかのアプリの通信は対象外です。Firefox の中でも、Mozilla の一部のサービスや、自分で除外したサイトの通信は通らないと、Mozilla は説明しています。
使い始める条件はMozilla アカウントでログイン(Firefox 149以降で、日本を含む地域へ順に提供中。リモート改善の有効化が必要で、管理設定などにより表示されない場合がある)です。表示されないときの確かめ方は、Mozilla の公式のヘルプ(内蔵 VPN が見つからないとき、英語)にあります。Android の Firefox への提供は、2026年7月28日から順に始まりました(Mozilla の案内)。
Mozilla は、この無料のVPNについて、閲覧のデータを売らず、通信に広告を入れないと説明しています。プライバシーの説明では、訪問したサイトやページの内容は記録せず、接続の状態や OS などの技術的なデータと、使い方のデータは扱うとしています。有料の Mozilla VPN は別の製品です。
ヘルプの確かめ方を見ても自分の Firefox で使えない人、ブラウザの外の通信も守りたい人には向きません。
なぜ無料で使えるのか:提供元が書いている費用のまかない方
提供元が公式のページやプライバシーポリシーで説明している、無料版の費用のまかない方は次のとおりです。1つの提供元が、いくつかの手段を挙げていることもあります。
- 有料のプランの利用者が支える:Proton VPN、Windscribe(無料版で広告のネットワークを使わないとも説明)、hide.me、Urban VPN、VPN - Super Unlimited Proxy(広告とあわせて)。
- 広告:Touch VPN(個人に合わせた広告の収益で、無料版の費用の一部をまかなうと説明)、X-VPN(無料版の広告の収入)、PrivadoVPN(公式サイトの広告と分析が、無料版を一部支えると説明。VPNのアプリの中には広告を出さないとしています)、VPN - Super Unlimited Proxy(有料のプランの利用者とあわせて)。
- 研究とボランティア:VPN Gate。大学の研究として公開され、中継のサーバーは各ボランティアが運営しています。
- 利用者の端末の資源:Hola。無料版の一部(Windows など)では、無料で使う代わりに、利用者の端末を提携先のネットワークの中継に使う場合があります。
- 事業全体や、既にある設備:Opera(広告・事業の提携・有料製品の購読の収益で支える。2026年5月の説明)、1.1.1.1 + WARP の Cloudflare(既に動かしているネットワークを使うので、費用が大きく増えない。2019年の説明)。
- 公式の案内からは分からない:Turbo VPN、Microsoft Edge セキュア ネットワーク、Firefox の内蔵 VPN。
費用のまかない方は優劣ではなく、無料で使う代わりに何が起きるか(広告が出る、端末の資源が使われる、など)を知る手がかりです。ただ、例えば Urban VPN は、有料のプランの利用者が支えると説明する一方で、閲覧のデータを分析に使うとも書いているので、記録の扱いと合わせて見ると確実です。
無料で足りないとき・VPNを使わずに済むとき
使い方に合う無料版が無いときは、次の順に考えると決めやすくなります。
- 手元のセキュリティソフトのVPN:パソコンやスマートフォンに入れているセキュリティソフトに、VPNが含まれていることがあります。確かめ方は、「VPNとは」の記事のセキュリティソフトの節にまとめました。
- 有料のサービス:含まれていない、または使いたい端末で使えないなら、有料のサービスという手があります。申し込む前に、料金(更新するときの料金)、ログの扱い、同時接続数、返金の条件の4つを、公式のページで確かめておくと安心です(選ぶ前に確かめる4つの点)。
有料のサービスには、無料体験や返金保証があるものもあります。ただ、どちらも有料の契約が前提で、この記事の無料版とは別のものです。無料体験には、支払いの方法の登録が要るものや、期間が終わると有料の契約に切り替わるものがあります。返金保証は、先に支払ったうえで、決まった期間・条件の中で返金を求めるものです。
VPNを使う目的がフリーWi-Fiでの盗み見の対策なら、VPNを使わずに済ませる手もあります。フリーWi-Fiでは人に知られたくない情報を入力・表示せず、そうしたやり取りはスマートフォンの回線に切り替えて行う方法です。これができるなら、急いでVPNを使う理由は小さくなります(VPNなしで済ませる条件)。
使いたいVPNがこの記事に無いとき
この記事に無い無料のVPNを使うなら、運営元とアプリの販売元と記録の扱いを、そのアプリの公式のページで確かめてからのほうが安心です。
名前で探されることが多いのに、この記事に無いものと、その理由です。
- NordVPN、ExpressVPN、Brave(Firewall + VPN)、Avast SecureLine VPN:公式の案内で、ずっと無料で使える版ではなく、有料の契約を前提にした無料体験や返金保証として説明されています。無料体験と返金保証の違いは、無料で足りないときにまとめました。
- カスペルスキーの VPN:2025年11月27日に無料のモードを終えたと、公式のサポートページが案内しています。
- Google One の VPN、VPN Lumos:今も無料で使えるかが、公式の案内からは分かりません。使うなら、Google One のヘルプやアプリの提供元の案内で、今も提供されているかを確かめてみてください。
- かべネコVPN:公式サイトが、海外での利用を主な用途として案内しています。このサイトは海外でVPNを使う話を扱っていないため、入れていません。
- 名前が似ていて、どのサービスを指すか決められないアプリ:入れていません。手元のアプリがどのサービスのものか分からないときは、販売元の見方で確かめられます。
